お知らせ

共鳴する何かを探しに、いざ大鳥音楽祭へ。ー2018年6月30日(土)大鳥音楽祭vol.4を開催します。ー

戦後の日本に比べ、どれほどの便利で安定した暮らしを送れるようになったか。大鳥の人たちから数えきれない戦中・戦後の話を聞いてきた僕には、それがどういうものだったか想像できるようになってきた。当時の暮らしぶり、働きぶりはすさまじい。

30kgも40kgもの炭を背負い、炭窯と集落を往復する日々。基盤整備される前はおびただしい数の田園が広がり、一枚一枚手植えをしては秋の実りを心待ちにしていた。山奥に掛けた小屋に1ヶ月もこもって早朝から日が沈むまでひたすらに山菜を採り、乾燥させる人たち…。冬の出稼ぎで関東近郊の工場で働き、残業もいとわなかった。パチンコしたり、酒をやったり、喧嘩をしたり。遊びも派手である。暮らしを立て、子供達を育てるために死にもの狂いで働いてきた。手の平のブ厚さがそれを物語る。

1960年代以降、重労働は徐々に機械が担うようになり、1990年代からは情報処理が発達し、生産効率は格段に上がった。物価も人件費も上がり、誰でもパソコンやテレビくらいは買えるくらいになっていた。バブル真っ只中に産まれた僕は、その恩恵を受け、育ってきた。高校も、大学も不自由なく通い、リーマンショック後の就職氷河期だったが会社にも勤めることができた。

だけど、なぜだか、相変わらず毎日はいそがしい。空を見上げることも、夕焼けに黄昏ることも、ままならないほどだった。正確に言えば、そんな心のゆとりを持てないでいた。会社から帰宅する電車の中、耳元から流れるお気に入りの音楽は、無限にループして心身にじわっと溶け込み、また朝が来る。

もう7年も前のこと。会社帰り、渋谷のスクランブル交差点辺りで人ごみを眺めながら缶ビールを飲んだ。ただ、毎日仕事が楽しくなかった。そこで、SBALという同世代のストリートミュージシャンに出会った。当時は”バルス渡辺”と名乗り、ギターをかき鳴らし、声の限り歌っていた。僕には彼が、とてつもなく自由に見えた。「投げ銭だけで喰っていく。」というプロジェクトを掲げて生活資金を稼いでいた。けど、ちゃんと自作CDも売っていたりして。徐々に親しくなって、ラーメンも一緒にすすれる仲になった。短髪で涼しげな顔つきのやつ。渋谷で路上ライブをやっている時はたいていビールを飲みながらやってる。

彼には一度、大鳥音楽祭に出てもらったことがある。礒見博カルテット、天田透さん、白崎映美さん、伏見蛍さんなど、一流のミュージシャンをじっと見て、何かを吸収しようとしている姿勢と、「現場でプレイする数ならここの誰にも負けない。」という言葉が忘れられない。彼は4年程前から単身で海外に行くようになった。韓国、台湾、香港、オーストラリア。言語の通じない国でも投げ銭とCD販売をベースに活動しているそう。意志と行動力、ブラボー。

彼のアコースティックは、彼の人柄も含めて好きになった。同じように、大鳥音楽祭で演奏されるジャズのメロディーや即興は、演者と会話をして、何度も生で聞いて好きになった。ジャズドラマーの礒見博さんは、鶴岡出身。上京してプロドラマーになるが、満足できずに23歳で単身渡米。芸術家が集住するアパートメントに暮らし、演奏活動を続けていた。同じアパートにもの凄い演奏家が住んでいたり、銃社会で身の危険を感じたり、刺激的だった日々を僕に教えてくれた。音楽祭実行委員長の嶋尾さんとの出会いは10年ほど前。礒見さんの音楽を聴いて、「日本人もジャズを自分のモノにした!」って、嶋尾さんが言ってたっけな。それから毎年、大鳥で演奏してくれている。初めて演奏を聴いた時、胸の内側からジワーーっと広がって鳥肌になっていく、あの感覚になった。うまくは言えないけれど、身震いした。山奥にも、そういう素晴らしい演奏や演者との出会いがあるんだと思った。

大鳥音楽祭はこれまでも、本当に素晴らしい演奏者の方々と、芸術家の方々、地元の方々に支えられ、そして何より観に来てくれるお客さんが励みとなり、続けられてきた。運営体制が変わったり、準備も様々あるけれど、今年も開催する運びとなりました。6月30日(土)に。

参加の理由は演奏でも映画でも、なんだっていい。そこには人も、音も、絵画も、彫刻も、映画も、食べ物も、地域も、自然もある。この場所で何かと出会い、もし共鳴するような事になれば、催した側としてほんとうに嬉しく思う。鳥の鳴き声も、虫の音色も、蛍の光も、川の流れも、木々が風に揺れる音も、みんな、大鳥で待ってる。ぜひ、遊びにきてほしいです。

大鳥音楽祭について詳しく知りたい方はこちら。

文責:大鳥音楽祭実行委員 事務局 田口比呂貴

アイキャッチ写真 撮影:五十嵐丈

チラシ作成:工房げるぐど

大鳥音楽祭vol.4 開催概要

■日にち:2018年6月30日(土)

■会場:大鳥自然の家 (山形県鶴岡市大鳥字寿岡112)

■タイムスケジュール

13:00~ ドキュメンタリー映画「越後奥三面-山に生かされた日々―」上映

15:30~ 映画終了 、大鳥の方々とのトークセッションを予定

16:30~  音楽祭 開演

西野神楽、サトチエ、保多由子、松本健一スペシャルユニット

20:00 終了

20:30~ 打上げ&CAMPFIRE

 

■Special Event

・前夜祭

タキタロウ館の脇に建てられたぜんまい小屋の周りで、地元の方々とお酒を呑みながらぜんまい小屋や山暮らしについてじっくり語らう一夜。

DATE:6/29 18:00 ~ 20:00

PLACE:タキタロウ館 脇

Capacity:5名程度。先着順。

FEE:2,000円(飲み物・つまみ代)

事前予約が必要。

Stay:各自で大鳥地内の宿をご予約下さい。※大鳥自然の家は6月29日は宿泊できません。

 

・そば打ち体験

大鳥自然の家の自然体験プログラム”そば打ち”を体験できます。そば粉を練り、打ったら美味しく頂きます。自然の家の指導員さんが着きますので安心。映画や音楽祭に供えてしっかり腹ごしらえしましょう。

DATE:2018/06/30(11:00~1時間程度を予定)

PLACE:大鳥自然の家 食堂

CAPACITY:15名まで

FEE:400円

事前予約が必要。

 

・民族文化映像研究所『越後奥三面-山に生かされた日々ー』映画上映

大鳥の松ヶ崎集落からスーパー林道をひた走り、県境を越えた向こう側に、三面集落はありました。ここはマタギが存在した地域であり、狩猟採集文化が色濃く残っていた。

「山に生かされた日々」は民族映像研究所の姫田忠義さんらが、ダムに沈む前の奥三面の一年間の生活ぶりを丁寧に取材し、映像にまとめられた至極の作品。大鳥の暮らしに通ずるシーンも数多く出てきます。東北の山村生活文化に関心がある方は必見の映画。上映後は大鳥の方々のトークセッションも予定。

DATE:2018/06/30 13:00~16:00

PLACE:大鳥自然の家宿泊棟 ブナ

FEE:1,000円(予約不要)

CAPACITY:50名程度

 

・わらび採り体験

大鳥出身 三浦一喜さんの案内で、山菜のわらびを採りに行きます。採ったわらびは持ち帰り♪せっかく大鳥まで来たのだから、大鳥の自然を満喫しましょう。

※採取場所は私有地。今回は特別に許可を頂いているので、この日以外は採らない下さいね♪

DATE:2018年6月30日 13:00~ 1時間程度

PLACE:大鳥自然の家玄関前集合

FEE:1,000円

CAPACITY:10名迄

ATTENNTION:靴、汚れても良い服装でお越しください。

事前予約が必要。

 

・CAMP FIRE

音楽祭が終わったら、グラウンドでキャンプファイヤー。闇夜につつまれた大鳥で、大きな大きな火をかこみ踊る。鶴岡の自由編成バンド ”イナプラネチャーニン”が演奏でキャンプファイヤーを盛り上げてくれます。

DATE:音楽祭終了後(20:30~23:30を予定)

PLACE:大鳥自然の家 グラウンド

※雨天の場合は食堂。

FEE:2,000円(打上げ飲食費用込み。)

 

■食事

・とちあられ・窯焼きピザ・山菜汁・ごっつぉバイキング・くるみおこわおにぎり・月山ワイン・大鳥セッションエール・自家焙煎珈琲ひぐらし

 

■入場料

映画鑑賞:1,000円

音楽祭 大人:3,000円 高校生:1,000円 中学生:500円 小学生以下:無料

打上げ参加費:2,000円

 

■宿泊

宿泊先:大鳥自然の家 宿泊棟(山形県鶴岡市大鳥字寿岡112)

宿泊費:2,000円(素泊まり・要予約)

※テント泊も可。テントの貸出もできます

 

■宿泊、イベント等の予約

https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSfFQiqAz3DluyOGYO8T3gAlFIxfHrJxG9h3RXOJd2VerEuGJw/viewform?c=0&w=1

 

大鳥音楽祭WEBページ