お知らせ

ウサギの巻狩り体験2019イベントレポート 山の神様は子供がお好き。

先日告知した、ウサギの巻狩りイベントが無事、終了しました。

今回で3回目となるこのイベント。一昨年は大雪が降ってしまって巻狩り風な体験イベントになり、昨年は本格的な巻狩りを実施し、ウサギではなくテンが獲れた。

さて、今年はどうなることやら。

この日集まったのは総勢30人程度。地元猟師に加え、鶴岡市内や山形市、仙台、秋田からも集まってくれた。

巻狩りというのは、獲物(今回はノウサギ)がいるであろう場所一帯を囲むように勢子(せこ:追い出し役)が何人も配置について、射手がいる場所まで声を上げて獲物を追い出していく。そして、獲物が走ってきたところを射手が鉄砲で撃つ、という狩猟方法です。狩場は大鳥自然の家の裏山で、大よそ東京ドーム一個分くらいの範囲。昨年と同様、参加者の皆さんには勢子を担ってもらい、勢子4班と射手に分かれて山へ向かいます。

ガイダンスが一通り終わって表に出ると、みぞれ交じりの雪が降っていた。視界が良いとは言えず、雪もやや緩んでいる。気温もやや寒い。とはいえ、猟の出発はいつもワクワクする。かんじきを履き、みんなでいざウサギの待つ山へ!

歩き始めてまもなく、今朝にでも歩いたであろうウサギの足跡を発見。左から右に、手前から奥に…。別のルートを歩く斑もウサギの足跡を確認したようで、これは期待できそう!

持ち場に到着して巻狩りが始まるまでの束の間、誰かがウサギの雪だるまを作ってくれた。かわいかった。でも、獲りたい気持ちが抑えられなくて…。

※撮影用。無論、脱砲しています。

射手がもうすぐ配置に着くかなー…という無線を受けると、各斑の猟師の合図で勢子たちが鳴り始めました。

「ホーイホーーーイ!!!」「ホー―――!」「オーーーーー!!!!」普段、大鳥では絶対聞けないような、元気で大きな声が山に響きわたる。鳴り続けながらゆっくり歩き、杉林を抜け、谷を越え、尾根を横切り、射手のいる方へと近づいていく。

ウサギちゃんも驚いて穴から飛び出たかな…。エヘヘ。息を切らしつつも、妄想は膨らむばかり。

しばらくすると、別の斑の勢子も見えてきた。

ズンズンズンズン…。

もっともっと歩いていくと、射手も見えてきた。

 

あれ?鉄砲の音しなかったけど?

 

残念ながら、猟果はあがりませんでした。「ウサギは山にいたろうけど、巻きの中には入っていなかった。こりゃ隣りの山だね。チャンチャン。」ベテラン猟師の言うことはやたらと説得力がある。その証拠に、2日後にその山でウサギを獲ってきていた。

ずぶぬれカッパから着替えると、冷えた手足を温めながら昼食タイム。弁慶飯にお漬物、わらびのサラダ、そして今年のメインは猪汁!今年から大鳥含む旧朝日村管内でも猪が続出し、何頭も獲れている。それに、ほら。今年は猪年だし!

(……本当はウサギ汁の予定でした。が、今年は大鳥にはウサギが少なくて、当日までに誰も獲れなかったのでした…、というのは内緒の話。)

猪汁、臭みもなくてとても美味しかった。

猟果はなかったけれど、それぞれにイベントを楽しんでもらえたようだった。「山での雪合戦がとっても楽しかった!」と笑わせてくれる子もいたりして。

山の神様は子供が好き。だから山に子供の声が響くことはいいことだよ。

そう、マタギの研究をされてる先生が教えてくれた。

来年も、大鳥の冬山に子供たちの声が響き渡りますように。そして、次こそウサギが獲れますように…。

文:田口比呂貴

写真提供:伊藤美加

 

写真提供:三浦一喜