大鳥の熊狩りが、ドキュメンタリー映画になりました。

こんなことになるとは思ってもみなかったのですが、ご縁があって東京の制作会社や監督さんと接点ができ、大鳥の人や猟友会の方々との理解を重ねながら製作に至りました。熊狩りに帯同して現場を観ながらその動向をカメラに収め、引退した人たちも含めて大鳥の鉄砲撃ちたちにカメラを向けてきてくれました。

文章でも写真でも映像でも、“狩猟”を伝えることは難しいと思っています。獲れた、獲れないの世界だけではなく、プロセスの中に天気や地形、植生、動物の痕跡、鳥の声など、五感で自然の変化/動向を探って獣の位置を確かめ、忍んだり、巻いたりすることで猟果に繋がっていく。獲れなかった反省の積み重ねもある。

一方で、映像で伝えられることもある。稜線から見える山々が美しさ、険しい斜面を登る厳しさ、猟果の喜び、獲れなかった時の悔しさ、家族と猟の繋がり、個々の熊狩りに対する想い…。鉄砲撃ちの中で共有されてきた世界は、映像を通じてその輪郭に触れられるとも思います。日本の片隅の、僻村の山々と狩猟文化をぜひ観てみてください。それと、タイトルにある“マタギ”という言葉については種々謂れがありますし、個々の思いもあります。大鳥の鉄砲撃ちたちの中ででどのようにこの言葉が捉えられているのかも、映画を観て感じてみてください。

僕としては、こんな形で大鳥を残してくれることは二度と無いだろうと思っています。本当に有難いことをしてもらいました。ドキュメンタリー映画を製作してくれた監督や撮影部隊は現在、彼らが元々企画として持ち込んでいた劇映画を撮影しています。大鳥もロケ地になっているので、公開されたら改めてご紹介します。

ドキュメンタリー映画『MATAGI-マタギ-』

山形県大鳥地区の又鬼（マタギ）の人々に取材を敢行。山と共に生きてきた彼らだったが、時代の変化と共にそのスタイル、アイデンティティも変わってきている。又鬼の精神に迫りながら、「又鬼とは何か？」を改めて本人たちやその地域の人に問う。

監督：飯島将史
撮影場所：山形県大鳥地区ほか
【配信開始日】2023年4月12日（水）
【配信形態】見放題　尺77分
【視聴URL】 https://video.unext.jp/title/SID0084680
【出演】田口洋美、工藤悦男、佐藤征勝、佐藤ゆき、工藤朝男、佐藤義幸、田口比呂貴（インタビュー登場順）

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