山のめぐみ図鑑

クサソテツ|草蘇鉄 青コゴミ

正式名はクサソテツ(草蘇鉄)ですが、大鳥を含め、東北ではこごみと呼ぶのが一般的。新芽がクルクルと巻いていて、かがんだ(こごむ)ように見えることから、かがみがコゴミに転訛したそうです。

江戸後期に東北を旅した菅江真澄の記録には、こごみに関する記述もあり、この時代から既に食べられていたことがわかる。

ある老人が山菜とりにいってきたみやげといって、ほな(ヨブスマソウ)、いはだら(サラシナショウマ)、あいぐき(ミヤマイラクサ)、こごみ(クサソテツ)、しほで(シオデ)、しどけ(モミジガサ)、ふすべ《せんなうともいった、わさびのことである》、もちぐさ《蒲公英》など、わたくしの聞き知らぬ菜もたいへん多い。

引用文献:『菅江真澄遊覧記1』平凡社ライブラリー 菅江真澄 内田武志、宮本常一

青こごみはシダ類の多年草。4月下旬~5月上旬頃になると、湿り気のある林や沢沿いの地面から青こごみが頭を出し始める。成長が早く、一週間も過ぎると伸びて硬くなり始めるが、残雪がある沢筋などでは5月中旬~下旬頃まで採集できる。集落周りから採りはじめ、日が経つにつれて奥へ奥へと採りに行く。まだ若芽のうち、茎がなるべく太いモノを芽から5~10cm程のところを手で折って採取します。一株から3~5本、多いと7~8本くらい生えるが、採取する際は株を弱らせないよう2~3本を必ず残す。

採集した青こごみは、すぐ調理するものは冷水に付けた後に水を切ってビニール袋などに入れて冷蔵庫で保管。乾燥・塩蔵保存はしないのが一般的ですが、冷水で洗い、水を切ったものを冷凍保存することも可能。

こごみは蕨やぜんまいのようなアクがなく、下処理も扶養。味にクセもないので、調理しやすい。茹でると少しヌメリがある。炒めものや和え物、煮物、天ぷら、お浸し、何でも合います。パスタの具材としても使えるし、ピクルスもOK。大鳥では、クルミ和え、ゴマ和え、お浸し、天ぷらなどで食べるのが一般的。

 

■参考文献

おいしい雑草 摘み菜で楽しむ和食』平谷けいこ・赤間博斗

菅江真澄遊覧記 (1) (東洋文庫 (54))』平凡社ライブラリー 菅江真澄 内田武志、宮本常一

『採れたて田麦 田麦俣の山菜・きのこの味』鶴岡市企画部地域振興課