大鳥とわたし vol.1 / 春の営み 本間かりん
大鳥に通って初めての春。繁岡集落を歩いているとあちこちの家の前にゴザが並べられ、ゼンマイやコゴミが無造作に広げられていた。「これはなにをしているんだろう…?」まじまじ見ていると、ゼンマイは干すと水分が飛んで小さくなってそのまま長期保存ができる、と地元の方が教えてくれた。
私の生まれ住んだ所、山形県鶴岡市三瀬地区も自然がたくさんの場所なのだが、山菜を干している姿は見たことがない光景だった。家族に聞いてみると、私の曾祖母がまだ元気だった頃(今から20年ほど前)は同じように山菜を干していたらしい。
平野部や市街地ではもう見られないかもしれない山菜を干す光景。自分も同じように自然の中で暮らしていたつもりだったけれど、実際はそうでもないのかもしれない。そんなことに気がつき、なにか惹かれるものがあった、そんな2年前の春。
山形県鶴岡市出身。東北芸術工科大学にて歴史学や考古学、民俗学を学んだ後、現在は山形大学大学院にて絵を描いている。東北芸術工科大学に在学中、東北文化研究センターにて刊行された冊子「東北一万年のフィールドワーク13 大鳥」の制作に2015年から関わり、大鳥を知る。
お知らせ
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