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大鳥とわたし vol.3 / 不思議なキノコの話 本間かりん

2年ほど前に、大鳥で採れる山菜やキノコをまとめたリストをつくるために工藤朝男さんにお話を伺ったことがある。そのなかで昔と比べて少なくなったキノコはあるのか聞いたところ、「あるある。」と朝男さんはナメコの石づきを取りながら話をしてくれた。図鑑にも載っていないというキノコがあるという。

「(生え方は)こう縦に複雑に並べたような。土を掘ってみれば真っ黒真っ黒。してや、それが皮剥けば中は真っ白なんや。やー、今はこんなの買いに来る人もいねども、昔はそれを皮は剥かねぇで干して、薬にな。図鑑見でもねえんだ。この村ではチョウレイマイダケっても言うわげ。においがマイダケにもちょっと似てるんだ。して、マイダケよりもちょっと品のいい香りがして。姿っていうのは、マイダケがこう葉っぱがひゅひゅっと幅広いような。滅多に出ねえんだ。10年に1回出るか出ねぇかな。昔はそのキノコの中を薬にするために探して歩いたんだ。」

今と昔で出るキノコの種類も違うという。朝男さんは空気汚染が原因ではないかと言っていた。

図鑑にも載っていないというキノコ。ちょっと食べてみたいな。

2018年11月

山形県鶴岡市出身。東北芸術工科大学にて歴史学や考古学、民俗学を学んだ後、現在は山形大学大学院にて絵を描いている。東北芸術工科大学に在学中、東北文化研究センターにて刊行された冊子「東北一万年のフィールドワーク13 大鳥」の制作に2015年から関わり、大鳥を知る。

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