大鳥の献立

バンケ味噌 -春一番の山菜料理。ご飯にのせて召しあがれ- 工藤定子さん

4月中旬ごろ。例年より遥かに積雪が多く雪解けも遅くなるかと心配していたが、沿道にはフキノトウが顔を出し始めた。「大雪の年は雪解けも早い。」って、地域の誰かが言っていたのをふと思い出す。早春、道端などに有象無象に生えるフキノトウは大鳥を含め庄内平野では”バンケ”と呼ばれる。なぜそう呼ぶのかはさておき、これを茹でて刻み、味噌と合わせて炒めた料理を”バンケ味噌”と言う。今回は繁岡集落在住の工藤定子さんに作り方を教えてもらった。

「花の部分は使わねぇ、苦いんだし。でも苦いの好きな人は使うってけ。」と言いながら一つ一つ花をちぎり取って調理を進めてくれた。火の調整から包丁で刻む姿まで作業が細やかで、思わず「丁寧ですね。」と口に出したら「お客さんに出すものなんだし。」と笑って聞かせてくれた。バンケ味噌といえば冷蔵庫から出して食べるイメージが強く、そういえば出来たてのあったかいバンケ味噌を食べたことがなかった。「出来たての温かいバンケ味噌と、冷蔵庫で冷やしたバンケ味噌、どっちが美味しいですか?」と聞いてみたが愚問だったらしく、「そんなこと考えたことないね。」と一言。笑

口に入れると、じわっと深い味噌の味わいの後に、ほろ苦く土っぽいフキノトウの香りが鼻から抜けていった。ご飯にのせて食べるのが定番ですが、豆腐にのせたり、焼き魚の付けあわせなど、味噌田楽のような使われ方もされる。まとめて作って冷凍しておき、一年かけてゆっくり食べられる。それがまた嬉しい。

取材日:2018年4月22日  撮影:伊藤美加

バンケ味噌の作り方

材料

  • フキノトウ:150g
  • 味噌:150g
  • 砂糖:大さじ5杯
  • 酒:大さじ3杯

作り方

1.フキノトウの蕾の部分を取る。

2.沸騰したお湯にフキノトウを入れ、2分くらい茹でる。指でつまんで柔らかくなっていれば良い。

3.流れ水にしばらくさらす。5分程度。

4.水から上げ、手で絞ってまな板に置き、叩くように細かく刻む。

5.フキノトウを鍋に入れて火にかけ、ダシを大さじ一杯、酒を大さじ3杯、砂糖を大さじ5杯入れ、かき混ぜる。

※砂糖の量は味を見ながら調整。

6.味噌150gを入れてかき混ぜながら少し炒めれば完成。

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