黄色い笹巻き
端午の節句(5月5日)には笹巻きの上に菖蒲の葉と茎をのせて神棚にお供えをするのが昔からのならわし。子供の成長を願う行事で、笹巻きを作るために一年近く前から準備が始まる。
※大鳥では端午の節句の時期には菖蒲の花がまだ咲いていないため、葉と茎をのせる。
笹の準備
8月の盆過ぎになると、集落近くの里山へ出かけ熊笹を採集する。雨の日には採らない。一枚ずつ、形のキレイなものを選んで束ね、テンゴに背負って持ち帰る。持ち帰った笹は天日干しをすると赤く日焼けしてしまうから、陰干しして乾燥させ、春まで保管しておく。
陰干しし、保管しておいた笹。
笹は樽に水を入れ、重しをして3~4日ほど浸しておくと元に戻る。
灰汁水の準備
①灰汁(あく)は、冬場に薪ストーブなどで炊いた薪から出る灰をとっておく。
ナラやブナの木の灰は良いが、杉の灰は良くない。
②取り出した灰はふるいにかけて選別する。
黒い塊になった灰は、良い灰なので、ふるいにかける時に手で潰して、灰を採る。
選別し、袋詰めした灰。
③お鍋に水を入れ、沸騰させる。
④沸騰した水に、灰をいれ、ひと煮立ちさせる。
灰を入れると、濃い灰色になり、シュワシュワと音を立てて沸騰する。
※灰を入れた水を少し舐め、舌がピリッとするくらいの量に調節する。
煮立つと、泡で溢れそうになる。
⑤灰水を別の容器に移し替え、灰が沈殿するまで1週間ほど置く。
⑥灰が沈殿したら、上澄みの汁(灰汁水(あくみず))となった部分だけをすくい、ガーゼで濾しながら瓶に入れる。
※昔は沈殿した湿った灰は乾燥させ、堆肥として畑に撒いたり、残雪を溶かすために撒いた。
笹巻きを作る材料
- 水で戻した熊笹
- 水で戻したすげ草
- 灰汁水(あくみず)
- もち米
笹巻きの作り方
①もち米をといで、水を切る。
②もち米に灰水をいれ、全体をかき混ぜる。
③笹にもち米を入れる
※すげ草も笹と同様、お盆過ぎ~秋に採集し、陰干しをして保管しておき、笹巻きを作る時期になったら水で戻す。
④すげ草で結ぶ
巻き方はこぶし巻と三角巻がある。
⑤沸騰させた水に笹巻きを入れ、一時間ほど火にかける。(薪ストーブの上で暖めても良い)
⑥火を止め、自然に冷めるまで待つ。(温かいまま笹巻きを取り出すと、乾いたときに笹の皮が固く、パリパリとなり、笹にもち米がくっつく原因となる。)
火を止めた時点で一度ザルに上げ、別のお湯にひたして自然に冷ましてもOK。
⑦笹巻の出来上がり。
食べ方
砂糖やきなこ、黒蜜をかけて食べる。勿論、そのまま食べてもOK。
保管方法
涼しく風が当たらないところ、もしくは冷蔵庫に保管しておくと1週間くらいは持つ。
◆端午の節句以外では、おやつや客人のもてなしとして食べられた。
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