ミヤマイラクサ|深山刺草 アイコ
学名をミヤマイラクサと言いますが、東北地方では”あいこ”の名前で親しまれています。大鳥地域ではさらに訛って”エーダケ”とも呼ばれる。刺の古語を”いら(刺)”と言ったのでイラクサ(刺草)。その名の通り、茎や葉にはトゲが生えていて、素手で触るとかなり痛い。茎皮は繊維の材料になっていたというが、麻よりもかたくて積みにくいものだそうだ。
約200年前に米沢藩が度重なる飢饉の救済策として作った食の手引書『かてもの』には深山蕁麻(イラクサの漢名)と記述され、「さっと茹でて食べるか、カテ物として食べる。」とあり、この時代には既に食されていたと確認できる。
茎から出ている白いのがトゲ。
5月上旬~中旬になると、山の沢筋、湿った岩場、斜面など、湿地帯に生えてくる。20~30cm程度のあいこを軍手等をはめて根元から折り採る。茎が太く、葉が開き切らないものが良い。
あいこはクセがなく、万人向きの食べやすい山菜です。トゲがあるので加熱処理は必要ですが、しゃきしゃきとした触感で、汁物に入れても良いし、クルミ和えなどの和え物や、お浸しにしても美味しい。
■参考文献
『野草の名前秋・冬―和名の由来と見分け方 (山渓名前図鑑)』高橋勝雄
『朝日村史』朝日村教育委員会