お知らせ

大鳥とわたし vol.2 / 朝男さんと初夏のミズ採り 本間かりん

夏になると思い出すのが、初めて大鳥に来た日のこと。

繁岡集落に暮らす工藤朝男さんに学生数人で山菜のミズ採りに連れていってもらった。

当時の私には、ミズがどんなものか全くわからなかった。朝男さんは見本にミズを採って見せてくれたのだが、さっぱりわからない。全部青々しい草に見える。

しかもミズを採りに行く途中、川を渡った際に足元を滑らせて下半身がびしょびしょになってしまった。ろくに動ける状態ではなかったが、とりあえずミズらしき草を少し採りつつ大きな石の上で日向ぼっこ。服を乾かしながらミズ採りに励む学生を眺めていた。いったい何をしに来たのだろう…。完全にお荷物状態である。

ひとまず採り終え、朝男さん宅に戻りミズの薄皮を剥くお手伝いをした。その後朝男さんはミズを使った手料理を振る舞ってくれた。

山菜汁にミズの天ぷら、炒め物と様々。初めてきちんとミズという山菜を食べた。どの料理もおいしく、ミズだけで満腹になる程だった。

山から自分で山菜を採っていただく。山菜を食べたことはあるけれど、どのような山菜で、どんなふうに生えているのかも知らない自分。知っているようでなにも知らないことがたくさんあるんだなあ。見ず知らずの大学生にも関わらず、親切にお話してくださる大鳥の人たちの温かさに触れた初夏のことだった。

 

山形県鶴岡市出身。東北芸術工科大学にて歴史学や考古学、民俗学を学んだ後、現在は山形大学大学院にて絵を描いている。東北芸術工科大学に在学中、東北文化研究センターにて刊行された冊子「東北一万年のフィールドワーク13 大鳥」の制作に2015年から関わり、大鳥を知る。

お知らせ

大鳥とわたし vol.1 / 春の営み 本間かりん

大鳥に通って初めての春。繁岡集落を歩いているとあちこちの家の前にゴザが並べられ、ゼンマイやコゴミが無 …

大鳥とわたし vol.3 / 不思議なキノコの話 本間かりん

2年ほど前に、大鳥で採れる山菜やキノコをまとめたリストをつくるために工藤朝男さんにお話を伺ったことが …

大鳥とわたし vol.4 / 冬の狩猟文化 本間かりん

「古老」綿布を張ったパネルにテンペラ この絵は、ウサギを追って雪山を登る大鳥の工藤朝男さんを描いた …