山のめぐみ図鑑

わらび|蕨

わらび餅のおかげで名前はよく知られた山菜。11月頃にわらびの根を掘り、水洗いしたものを木製の細長い舟のような器の中に入れて杵で搗きつぶす。根舟という舟に入れ替えて水を張り、澱粉を沈殿させて、わらび粉を取っていた。そのわらび粉でモチにしたのが元々のわらび餅。江戸時代後期に米沢藩が飢饉に供えて作成した”かてもの”という書物の中でもわらびの粉の取り方が細かく書かれている。1950年代、戦後の食糧難の時代の頃までは山村集落で作られていた。現在のわらび餅は片栗粉と同じようにイモ類の澱粉を使っている。

語源は万葉集で志貴皇子が歌の中で「石ばしる 垂水の上の さ蕨(わらび)の 萌え出づる春に なりにけるかも」と詠まれ、ワラビの新芽が”童の手”のようだからという説や、アク抜きしたワラビの色が燃やした藁に似ていることから「藁火」という説など。定かではない。ちなみに山形県には、蕨野、蕨岡、大蕨といった蕨のつく地名が幾つかある。

ウツギザクラが咲く5月下旬~6月上旬頃、日当たりのよい斜面にわらびが一斉に生えてくる。葉が開かないうち、太いモノをポキッと折れる部分から一本一本折り取る。大鳥では紫わらび、青わらび、藪わらびの3種に分けられる。青わらびは普通のわらび。藪わらびは背丈70cm程度に育っても硬くならず、太くて粘り気の強い極上のわらび。とはいえ美味しいわらびか否かは採る場所で決まるのだとか。青わらびでも美味しいのとそうでないものがある。場所次第。

採り損ねたり、細くて採らなかったわらびは夏前に草刈機で刈る。そうしないと雑草に負けて伸びなくなる。刈ったその年にも再びわらびが生えてくるが、それを採ると細くなるので翌年に採る。

自宅の畑や転作田、持ち山の斜面にわらびの根を植え、わらび畑にして毎年採る人が多い。植え付けは11月頃に山からわらびの根を掘って採り、植える。この時期のわらびは土中の根から芽が出始めている。それがあると来年の春にはワラビが生えてくるので、雪降る前のこの時期に根を採ってきて畑に植える。一度植えてしまえばずっと出続けるし、ぜんまいと違ってあまり細くならないそう。

「わらび採りいかねかー?」と地域のおばあちゃんに誘われるがままに連れていってもらったことがある。朝5時、朝露でびしょ濡れになるのでカッパ着用して集落近くの道路脇斜面でせっせと採る。小てんごと大てんごを持って行って、小てんごいっぱいに、5kgくらいずつを採っては大てんごに移して採る。丁度良い太さのわらびをポキっと折れるところから折り採ると思ったら、次に採るわらびに手を掛ける。「次にどのわらびを採るかを探しながら採るんだや。」と教わったが、山菜採り一年生だった頃は藪のどこに良さそうなワラビが生えているか、目を凝らさないと見つけられなかった。70過ぎのおばあちゃんと言えど、採るスピードは早い。2時間で20kgほどを採ると自宅に帰り、自宅用、保管用、出荷用に分け、長さをそろえて根元を切り揃える。1束400gずつにして根元に近いところを昔は藁で、今は輪ゴムで縛っている。縛った部分が固くなるので、根本近くで縛るとロスが少なくなるのだとか。

自宅用や保管用は塩漬けにする。束ねたわらびを樽の中に入れ、ホームセンターに売っている10kgとか30kgの並塩をドサッと入れて、内蓋、重石をして蓋を絞めて倉庫に保管。お盆の頃には食べれるようになっている。

ワラビはアクが強いので、生で茹でたりしては食べれない。昔は囲炉裏や薪ストーブから出た灰で、現在はもっぱら重曹でのアク抜きをするのですが、塩漬けにすると不思議なことにアクが抜ける。

わらびのアク抜き方法

一晩水に浸けたり水を何度か入れ替えたりして”塩抜き”したらさっと茹でてお浸しにしたり、たたきにしてご飯にかけて食べるのが定番。大鳥ではわらびを切らずにめんつゆにつける”わらびの一本漬け”という料理があるのですが、これが結構おいしい。めんつゆだからと言って侮るなかれ。

 

■参考文献

おいしい雑草 摘み菜で楽しむ和食』平谷けいこ・赤間博斗

『かてもの<復刻版 読下し本>』米沢藩

『山形県の地名―その語源をたずねてー』安彦好重

大鳥の献立

わらびのあく抜き方法

わらびはアクが強く、生では食べられません。 昔は囲炉裏や薪ストーブなどで木を焚いて出た灰を使っ …

わらびのお浸し

わらびのもっともシンプルな食べ方。 あくぬきしたわらびに、お好みで擦り生姜をのせ、醤油を垂らし …

お買い物

わらび(生・塩蔵)

わらびは初夏を感じる5月下旬~6月上旬頃、日当たりのよい斜面に一斉に生えてくる。葉が開かないうちに、 …
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