大鳥の献立

わらびの味噌汁 -味噌は3年ものが一番うめぇって言うっけっちゃな- 工藤静代さん

昔ながらのわらびの味噌汁を、繁岡集落在住の工藤静代さんに作ってもらった。2018年2月17日。3m50㎝もの雪に覆われた大鳥で、この日も雪がちらついていた。

塩蔵する山菜の中で、一番と言っていいほど大量に塩漬けしておくのがわらび。「わらびは200束、300束(80kg、120kg)って漬けるな。採っただけ漬けておくんだし。」なんて、そう簡単でないことをサラリと言いながら『ドンッ』と台所に上げてくれのは紫わらびと青わらび。同じわらびでありながら色が違うという不思議。「紫わらび(画像上)は重曹で煮出すと真っ青になんなや。こっち(画像下)は青。生のままこういう青い色だな。」さして味に変わりはないそうだが、場所によって、土によって色が変わるんだろうなぁ…っとちょっぴり思案しながら手を進めてくれた。

沸騰させた鍋にだしを入れ、6㎝くらいに切ったわらび、短冊切りにした油揚げを入れる。「この麹味噌は今年のを貰ったんだどもまだちょっと甘い。だはけ味噌は3年味噌が一番うめぇって言うっけっちゃな。」柔らかくなった具材を確認すると火を止め、”一番美味しい”3年味噌をといて、わらびの味噌汁のできあがり。山里の風景を思い起こさせる、ホッとする一品。

「おらいでキノコ植えてるところあるろ。あの下のほう、あそこ全部わらびだったんだぜ、凄く良いわらび。田の跡あっちゃん、一回藪になってみんなわからなくなってるども。田んぼの跡だったんや。わらびで凄かったんだぞ。」と、作ったお汁を頂きながら少し興奮気味に昔語りをしてくれた。山菜を採るのも楽しくて、料理も楽しい。静代さんは僕の眼にはそんな風に映った。

写真右が工藤静代さん。中央は今回一緒に取材協力をしてくれた寿岡集落の三浦勝子さん。

取材日:2018年2月17日  撮影:伊藤美加

わらびの味噌汁の作り方

材料

  • わらび  -  400g
  • 水    -  900ml
  • 油揚げ  -  2枚
  • だし   -  少々
  • 味噌   -  お好みで

作り方

1.わらびを4~5㎝程度に切る。油揚げは短冊切りにする。

2.お湯を沸かし、だし、わらび、油揚げを加える。

3.具材が柔らかくなったら火を止め、味噌をといて味を調える。

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